目標は前人未踏の連覇更新
日本大学馬術部監督
諸岡 慶
全日本学生馬術三大大会・3種目総合で8連覇を昨年達成した日本大学馬術部が、9連覇に向け始動しました。「日大は強い」「試合は勝って当然」という馬術部にかかる重圧は、私が現役のころから変わりません。5、6連覇が懸かった大会では先代の監督たちが築いた記録に並ぶことを意識しましたが、その後の連覇はむしろ通過点にすぎません。
今の目標は明治大学が成し遂げた17連覇の記録を塗り替えることです。今年は試合内容をさらに濃くし、日大にふさわしい戦い方を一層追求します。
監督として、仕事の合間に学生たちのことを考えない日はありません。コーチ陣には、チャンスがあれば積極的に日本中央競馬会(JRA)の講習や海外派遣に手を挙げてもらい、指導のレベルアップを図っています。昔のやり方にこだわっていては、日々変化する馬術の潮流に対応できません。学生たちも馬術の最新知識を身に付け、卒業後も社会で活躍する人材に育ってもらいたいと考えています。
日大の看板を背負う学生たちの安全・安心を守るのも指導者の役目です。預かる学生たちに万が一の事態があってはならず、日常の健康・危機管理は徹底しなければなりません。試合への輸送から始まり大会が終わって厩舎へ帰るまで、アクシデントは不意に忍び寄る恐れがあります。気持ちが緩んだり、すべてが順調に進んだりしているときなどは特に注意を怠れません。
きめ細かな観察が欠かせないのは、人も馬も同じです。私自身、競技直前に馬の蹄鉄が外れたり、小さな傷口が原因で馬の足が腫れたりする苦い経験を経て、指導者の道に進みました。人も馬も異常の早期発見・報告・治療を心掛け、先手先手で万全を期していきます。
勝利の継続にはこうした監督・コーチの適切な指導はもちろん、OB・OGを含めた日大関係者のサポートや応援も重要になります。馬術では経験豊富な学生たちも精神面にはまだ波があります。周囲の大人たちが真剣になることが何より学生たちの力となります。
前人未踏の18連覇を実現すれば、日大馬術部での私の役目もひとまず終わりでしょう。後は若いコーチ陣に馬術部を託す思いです。若い世代がさらに記録を更新する未来をひそかに期待しつつ、まずは9連覇目指し、この1年を戦い抜きます。
諸岡 慶
昭和31年6月17日三重県生まれ。
昭和54年3月日本大学農獣医学部拓殖学科卒業。同4月~平成8年3月馬術部コーチ。平成16年より同部監督。監督就任以降の馬術部賞歴として平成18年に全日本学生賞典障害馬術競技大会団体優勝(種目優勝)。
平成23年に18年振り18回目となる全日本学生馬術三大大会三種目総合優勝。平成27年には5連覇達成。団体優勝数は135勝を数える。
(有)マツカゼ馬事センター代表取締役社長。(有)TRC乗馬クラブ高崎代表取締役社長。(有)ファーリーアーズ代表取締役社長。(株)湘南馬事センター代表取締役社長。(株)龍翔代表取締役社長。